法人の社会保険料負担
個人事業者は国民健康保険+国民年金ですが、法人は社会保険への加入(健康保険+厚生年金)が義務付けられます。
社会保険料の金額は、給与の金額により算定され、給与額が高額になるほど、保険料も高くなります。
それでは、個人事業と法人では、どの程度保険料の差額があるのでしょうか?
税額比較シュミレーションと同様の想定条件で検討します。
個人事業・法人の社会保険料比較
シュミレーション 事業主A コンサルタント業
- 福岡市在住 年齢43歳
- 扶養家族2名(妻:36歳、子11歳)
- 年間売上 2,000万円
- 仕入他経費 1,000万円
個人事業の場合の事業主Aの社会保険料(年間)
(※前年度も同程度の所得があったと仮定して算定。 )
負担する社会保険 | 年間負担金額 | |
---|---|---|
国民健康保険 | 77万円 | |
国民年金保険 | 事業主A及び妻の2名分 | 36万円 |
社会保険料合計 | 113万円 |
事業主Aが法人化している場合の社会保険料
法人が加入する社会保険は、毎月の給与額により保険料が決定され、この保険料は、個人(給与を受け取る人)と法人が折半して負担します
事業主Aの役員報酬を毎月均等で支払ったと仮定すると
1,000万円 ÷ 12か月 = 83万円(月額報酬)
月額報酬83万円に対する社会保険料
負担する社会保険 | 月額保険料(折半額) | 年間負担金額(折半額) | 年間負担金額(法人+個人) |
---|---|---|---|
健康保険 | 48,430円 | 58万円 | 116万円 |
厚生年金保険 | 53,072円 | 63万円 | 127万円 |
社会保険料合計 | 101,502 | 122万円 | 243万円 |
個人事業での保険料の負担額(113万円)比較すると、130万円の負担増となります。
同様の計算方法で、所得金額別の社会保険料を比較してみると、
所得金額 | 500万円 | 1000万円 | 1500万円 |
---|---|---|---|
個人事業の場合 | 107万円 | 113万円 | 113万円 |
法人化した場合 | 142万円 | 243万円 | 297万円 |
負担増額 | 35万円 | 130万円 | 184万円 |
減税額も考慮した法人化による負担の増減
所得金額 | 500万円 | 1000万円 | 1500万円 |
---|---|---|---|
節税額 | ▲ 14万円 | ▲ 79万円 | ▲146万円 |
社会保険料の増額 | 35万円 | 130万円 | 184万円 |
法人化による負担増 | 21万円 | 51万円 | 38万円 |
実際は、社会保険料の法人負担分は法人の経費として算入できること、将来的には年金受給額が厚生年金分上乗せになるなど、利益・節税となる部分もあり、また、所得金額や法人・個人の所得の配分割合により法人化のほうがコスト減となる場合も当然あるなど、単純に比較することが難しい部分はあります。
ただ、「法人化すれば、税金等のコストが大幅に安くなる」ということではないことがわかります。
コスト減のみを目的として法人化をしたい場合は、十分な検討が必要です。